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薬剤師ヒヤリハット!調剤過誤の原因と対策まとめ

この記事の最終更新日は2019年08月02日です。
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薬剤師が最も注意しているのは、調剤ミスによる健康被害ではないでしょうか。薬は、正しく服用することで病気の治療に役立ちますが、誤った方法で服用してしまうと、副作用が現れる恐れがあります。場合によっては、生命に危険が及ぶ副作用が現れるため、十分に注意が必要です。

薬剤師の過失による調剤ミスを調剤過誤といいますが、その他にも様々なヒヤリハットの事例があります。これまで、調剤過誤をしたことがない薬剤師の方も、事例を確認してしっかり対策しましょう。ここでは、調剤過誤の原因と対策、事例などをご紹介します。

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薬剤師の調剤過誤とは?

調剤過誤とは、薬剤師の過失によって起きた健康被害などの事故を指します。患者の状態や症状に合わせて適切な調剤ができず、結果的に健康被害が起きた場合、調剤過誤となります。また、薬剤師の説明不足や間違った指導によって、患者が間違った服薬をし、健康被害を受けた場合も調剤過誤と言えるのです。

その他、調剤事故もあります。調剤事故は、調剤に関する理由によって患者が健康被害を受けた全てのケースが該当します。つまり、薬剤師に過失の有無にかかわらず、健康被害があった時点で調剤事故となるのです。

ありがちな調剤過誤5つ

ありがちな調剤過誤としては、次のようなケースがあります。

数量間違い

調剤すべき数量を間違えて、本来とは異なる日数分の薬剤を交付してしまうケースです。薬によっては、薬の効果があらわれないことや、予期しない副作用が起きてしまうこともあります。

薬剤取り違え

名称が似ている異なる薬剤を調剤してしまうケースがあります。名称が似ていても、作用が全く異なり、場合によっては重大な健康被害が起こります。

剤型や規格の間違い

医薬品には、錠剤や顆粒などの様々な剤型が発売されています。また、1mgや10mgなど、複数の規格が発売されているケースも多く、規格を間違えることで過量摂取につながる恐れがあるのです。経験の浅い薬剤師では、複数の剤型や規格があることを知らず、思い込みによって調剤過籠をしてしまうケースもあります。

禁忌例への投薬

医薬品には、「禁忌例」が定められている場合もあります。特定の病気や体質、年齢、性別、併用薬、妊娠の有無などにより、使用が認められていないことがあるのです。禁忌症例に対して、薬を誤って交付してしまうことにより、重大な健康被害がおこることもあります。

処方せん監査ミス

処方せんに記載された医師からの指示を読み間違えたり、読み飛ばしたりすることで、正しく調剤できないケースです。忙しくて混雑しているなど、様々な要因が重なることで起こる可能性が高まります。

もしも調剤過誤を起こしたら?薬剤師の責任はどうなる?


調剤事故や調剤過誤が起きた場合、薬剤師には民事上の責任や刑事上の責任、行政上の責任を問われる恐れがあります。損害賠償請求をされたり、業務上過失致死傷罪に問われたり、薬剤師免許の取り消しや業務停止などの処分や罰則を受けたりすることがあるので注意が必要です。

調剤事故や調剤過誤の内容によって、処分が異なります。薬剤師の過失の度合いが大きい場合や、患者さまに重大な健康被害が起こってしまった場合には、より重い処分が下されたり、多額の損害賠償請求を受けたりする可能性があります。

実際に起きた調剤過誤の事例

実際に起きた調剤過誤の事例をご紹介します。

薬剤取り違えの事例

マイスリー5mgが処方されている患者に対して、マイスタン5mgを調剤してしまったケースがあります。いずれも向精神薬であることや規格が類似している(5mgと10mg)ことから、取り違えが頻発しています。マイスリーとマイスタンを発売している製薬会社2社から、2018年10月23日に医療機関に対して防止策の検討を依頼したという経緯もあり、処方オーダーシステム上で薬効名やアラートを表示させるなどの工夫をおこなう医療機関も増えています。

規格・剤型間違いの事例

プレドニン錠5mg 0.5錠と記載された処方せんに対して、患者がジェネリック医薬品を希望したため、プレドニゾロン錠5mg 0.5錠の調剤が必要だったが、プレドニゾロン錠2.5mg 0.5錠で調剤した事例があります。この場合、プレロン錠2.5mg 1錠で問題ありませんでしたが、心理的・身体的要因が重なり、うまく頭の中で用量に応じて錠数を変換できず、調剤過誤となりました。

(※)薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業より

調剤過誤を防ぐには?やっておきたい対策4つ

調剤過誤を防ぐためには、次の4つの対策を徹底することが大切です。

チェック体制を強化する

2名以上の薬剤師によるダブルチェックやトリプルチェックを行い、その後に患者と一緒に再確認しましょう。

誤認しやすい名称の把握

名称が似ている薬などを把握し、警告ラベルを棚に貼るなど対策しましょう。

健康被害が起こりやすい医薬品の区別

調剤過誤によって、重大な健康被害が起こりやすい医薬品は、別の棚に保管したり、色や印をつけたりして明確に区別しておきましょう。

過去の事例を共有する

過去に起きた調剤過誤の事例を薬局内で共有しましょう。調剤過誤になる前に気づいた事例を含め、しっかり情報共有することで、調剤過誤を防ぐ意識を保つことに繋がります。

しっかり対策して調剤過誤を防ごう

調剤過誤は、健康被害によって患者に多大な迷惑をかけるだけではなく、薬剤師免許の取り消しや損害賠償請求などを受ける可能性があります。そのため、薬剤師には調剤過誤がいつ起こるかわからない事実を認識し、しっかり対策する姿勢が求められます。複数の薬剤師がいる場合は、ダブルチェック体制の確立など、お互いの調剤過誤を防げるような対策を進めていきましょう。

現場の薬剤師からひとこと

薬剤師としてはたらく上では、調剤過誤のリスクを避けては通れません。忙しいときやイレギュラーな出来事がおこったときにこそ、ミスをおこさないように最大限の注意を払いましょう。ダブルチェックや指差し確認なども、有効な手段です。
1件の重大な事故の背景には、29件の軽微な事故があり、300件の「ヒヤリハットの事例」があることも知られています。軽微なミスやヒヤリハットの事例を収集・共有して、調剤過誤を未然に防ぐことも大切です。患者さまに正しくお薬をお渡しできるように、業務フローやシステム構築を見直すこともおすすめです。

この記事を監修した人

安永 裕矢(やすなが ゆうや)

監修者プロフィール

6年制薬学部を卒業後、製薬会社MRを経て、調剤薬局に勤務。製薬会社では幅広い領域の薬剤を扱っていたので、様々な領域の医薬品知識にもとづいた服薬指導を心がけています。趣味はドライブ、スノーボード、食べ歩きなど。